青黛の臨床研究について

青黛は、植物から抽出したインジゴを含有する生薬で、主に藍染の染料として用いられてきました。中国では、古くから潰瘍性大腸炎に対して、青黛を含む漢方薬が用いられていましたが、十分な科学的検証がなされていませんでした。また、自己判断や自由診療で青黛を含む漢方薬を内服している患者さんが日本にも多数いらっしゃるという現状がありましたが、一方で安全性や、医師がそのことを知らずに診療に当たっていることもあるという社会的な問題点も指摘されていました。

当院では、青黛が含有するインジゴが、近年、粘膜治癒を促進する物質として世界的にも注目を集めているインドール化合物であるという点に着目し、その有効性と安全性を科学的に検証するため、世界で初めて潰瘍性大腸炎の患者さんに対する前向き臨床試験を行いました。従来の治療薬に反応しなかった難治例を含めて約7割の患者さんに有効で、内視鏡において劇的な改善を認めた例もあり、有望な代替治療薬の候補になりうると考えられました(Sugimoto S, et al. Digestion 2016 https://www.karger.com/Article/FullText/444217)。一方で、肝機能障害などの副作用もみられ、投与容量の設定を含む更なる検証のため、次の段階の試験が必要と考えられました。この研究成果は厚生労働省科学研究班でも注目を集め、現在、全国30施設以上にわたる多施設共同研究を行っています。この研究については、ご協力いただく際にも様々な基準を設けておりますが、詳細は外来担当医にお気軽にご質問ください。

また、当院では臨床における青黛の豊富な使用経験のみならず、基礎研究も平行して安全性や機序の解明を目指しております。潰瘍性大腸炎以外の疾患についても、当院での臨床研究を設定しています。当院通院中でない患者さんでこれらの研究にご興味をお持ちの方は、今かかっていらっしゃる外来の先生とご相談ください。

 

実臨床における難治性潰瘍性大腸炎に対する青黛の有用性と安全性の検討



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