肝疾患

慶應医学の大きな特徴は、一般・消化器外科、放射線科や腫瘍センター、内視鏡センター、予防医療センター、免疫統括医療センターなど診療科間の垣根が低いことです。この特徴を最大限に活かし、診療科の枠を超えて各診療科が強固な協力体制のもと、がん、免疫難病、肝不全・肝移植、特殊内視鏡治療など大学病院特有の難治疾患を適切かつ迅速に診断・治療を進めてまいります。

肝疾患

診療の特徴

肝臓の働きは、
1.栄養分の貯蔵
2.胆汁の産生
3.脂肪、糖、ビタミン、蛋白の代謝
4.不要になったホルモンの破壊
5.有害物質の解毒
6.薬物の代謝
など多様であり、人間が生きていく上で不可欠な臓器です。肝臓が働かなくなるとこれらの機能がおとろえ、最終的に「肝不全」という状態になります。
肝機能障害をきたす原因はウイルス性、アルコール性、自己免疫性、薬剤性、糖尿病、肥満、代謝性など多岐にわたり、その病態も発症時期、過程により急性肝炎・肝不全、慢性肝炎、肝線維化・肝硬変、さらに肝細胞癌の発がんなど様々です。近年、肝硬度測定による肝線維化・肝硬変の診断、ウイルス性肝炎に対する抗ウイルス療法、肝細胞がんに対する低侵襲性治療、集学的治療など本領域における診断・治療法の進歩はめざましいですが、私たちは患者さんの年齢、自然経過、効果、副作用を十分に考慮したうえで適切な治療を提供できるよう心がけています。

対象疾患

1. 劇症肝炎、急性肝不全
2. ウイルス性肝炎(HAV, HBV, HCV他)
3. 自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)などの自己免疫疾患
4. アルコール性肝障害
5. 非アルコール性脂肪性肝疾患
6. 肝線維化・肝硬変
7. 肝細胞癌、転移性肝癌
8. 肝移植前後の管理、フォローアップ など


主な診療内容

エコー下経皮的肝生検(年間約50例)、非侵襲的肝硬度測定(年間約300例)、インターフェロン導入(年間約50例)、肝動脈塞栓化学療法および肝動注療法(年間約100例)、経皮的ラジオ波焼灼療法、経皮的エタノール注入療法(年間約60例)など


外来について

慶應義塾大学病院新棟1階の内科外来12番、13番、14番にて、外来診療を行っております。教育関連病院、および開業医の先生と密に連携をとりながら、常時患者さんの紹介を受け入れています。


入院について

慶應義塾大学病院において消化器内科の病棟は9N病棟(新棟9階)、10N病棟(新棟10階)、4N病棟(中央棟4階)になります。いずれの病棟も消化器外科との混合病棟となります。また個室病棟である10S病棟(新棟10階)、3-6病棟(南棟6階)や、緊急の場合には上記以外の病棟にご入院いただくこともあります。入院後は、病棟主治医が中心に診断、治療にあたり、診療部長である金井教授をはじめ、各病棟の病棟長、病棟チーフ、外来主治医によるチーム体制で、適切な診断・治療方針の決定を行います。また消化器内科のみでなく、消化器外科、放射線科、病理診断科、麻酔科などの病院内の各診療科と連携し、患者さん一人一人に最善の治療を選択していきたいと考えています。患者さんご自身、ご家族のご意見も大切にしながら診療しております。質問、ご意見などお気軽にいただければ幸いです。