教授からのメッセージ

自己紹介

私は平成25年8月に日比紀文教授の後任として、慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器)の教授に就任しました。他大学の教授がびっくりするぐらい、斬新なアイデアをフルに活用して、卒後教育に取り組んでいきます。もちろん、常に患者さんの視点に立ち最善の診断・治療が行えるスタンダードな育成プログラムが前提です。その中で、慶應が誇る多くの関連教育病院と密に連携を取りながら積極的に新しい手法を取り入れ、国内外で消化器内科をリードする未来のオピニオンリーダーを育成する、長期的な、かつ、具体的な指導体制、特に若手医師が効率よくキャリアアップできる環境を充実させたいと考えています。私は新米教授であり、若者が世界に飛び出すチャンスのためなら、何でも挑戦していきたいと勇気を奮い立たせているところであります。

消化器内科領域はカバーすべき臓器も多く、また、良性疾患と悪性腫瘍、急性疾患や慢性疾患と多様性に富んでいます。一方で日常診療では外来患者数・入院患者数も極めて多く、プライマリーケアの柱であるcommon diseasesを担当するという側面も持っています。診療においてもさまざまな検査や治療手技を含み、内視鏡治療、IBD治療などではすでに世界をリードする集団となっています。このように臓器・疾患・治療内容・社会のニーズのいずれにおいても、多様性の中から自分にあった道を選択でき、かつどの分野でもレベルの高い診療を行っているのが当教室の特徴です。このように、多様な分野を担当する領域だからこそ、若手医師には個々のキャリアパス・プログラムを明確に明示する必要があると考えています。

多様なキャリアパス

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何かの技術でトップを極めたい:
"エキスパートコース"

総合力のある消化器病学をマスターし、かつ、内視鏡手術、ラジオ波焼灼術など一つ世界トップレベルのエキスパート技術を身につける。

スーパージェネラリストを目指す:
"ジェネラリストコース"

内科、特に、消化器内科の責務であるプライマリーケアと総合消化器診療をマスターする。

トップレベルの研究がしたい:
"コアリサーチコース"

臨床と基礎医学の双方の接点である内科学の責務である、生命の根源にまで迫る病態研究ができる

など若手医師のニーズは多種多様であると考えております。若手医師の10年後の未来を見据えた、目標を明確に提示できる卒後教育を展開していきたいと考えています(右図)。


横断的診療クラスター

もうひとつ慶應医学の大きな特徴は一般・消化器外科・放射線科や腫瘍センター、内視鏡センター、予防医療センター、免疫統括医療センターなど診療科間の垣根が低いことです。この特徴を最大限に活かし、横断的診療クラスターの中で強固な協力体制のもと、がん、免疫難病、肝不全・肝移植、特殊内視鏡治療など大学病院特有の難治疾患を適切かつ迅速に診断・治療できる環境を作り上げたいと考えています(下図)。今後、消化器病学を極めたい若手医師にとって、この慶應病院のシームレスな診療体系は、卒後キャリアパスに絶大な効率性をもたらすものと信じています。さらに、大学で学んだキャリアのその後の継続性も極めて重要な課題と認識しています。すなわち、大学は関連病院と強固に連携し、10-15年と長期な卒後教育を構築することで、責任を持って国内外をリードするサブスペチャリティーの確立をお約束して参りたいと考えています。

多くの若者がそれぞれの道で、国内外で立派に活躍できる人材育成のパスウエイの体制を整え、慶應医学、日本の医療、さらには、人類そのものに貢献できる、慶應消化器内科学教室を築いていきたいと考えています。まだ見ぬ未来の仲間たちも含め、多くの方々の絶大なるご支援をお願い申し上げます。