臨床グループは、上部消化管、下部消化管、消化器腫瘍、肝臓、胆膵、消化器内視鏡と6つの班に分かれて外来・病棟業務、臨床研究に取り組んでいます。いずれの臨床グループにも経験豊富な専門医が多数そろっており、症例も多岐にわたります。病棟業務は専門スタッフ、卒後5-7年目消化器内科医師、後期および初期研修医、医学生で屋根瓦のチームをつくり患者さんの診療にあたっています。
肝臓班
特徴
消化器内科の肝臓疾患の主な診療内容は、エコー下経皮的肝生検(年間約50例)、非侵襲的肝硬度測定(年間約300例)、インターフェロン導入(年間約50例)、肝動脈塞栓化学療法および肝動注療法(年間約100例)、経皮的ラジオ波焼灼療法、経皮的エタノール注入療法(年間約60例)などです。
当科の特徴として、特に下記の疾患、病態の診断、治療に力を注いでいます。
- 肝不全に対する集学的治療
急性肝不全に対する早期診断と治療介入による予後の改善を目指して、消化器外科肝移植班と連携を取りながら、血液浄化療法から肝移植までの最先端治療を行っています。 - 肝悪性腫瘍に対する低侵襲治療と予防医療
造影超音波検査やV-Navigation systemを用いた低侵襲かつ確実性の高い経皮的治療、ならびに放射線科、消化器外科との連携のもと最先端のIVR治療を行っています。さらに非侵襲的肝線維化診断法を用いて肝線維化の診断と発癌の早期発見を目指しています。 - 自己免疫性肝疾患、ウイルス性肝炎、肝硬変に対する免疫学的アプローチを用いた診断、治療法の検討
対象疾患
- 劇症肝炎、急性肝不全
- ウイルス性肝炎(HAV, HBV, HCV他)
- 自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)などの自己免疫疾患
- アルコール性肝障害
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 肝線維化・肝硬変
- 肝細胞癌、転移性肝癌
- 肝移植前後の管理、フォローアップ
教育
臨床面においては、専門医取得に必要な肝臓領域疾患の専門的知識の習得、ならびに肝硬度測定、経皮的肝生検、ラジオ波焼灼術などの診断治療手技の確立を指導します。また、週一回開催される放射線科との合同カンファレンスにおいて、主に肝細胞癌症例の画像所見の検討、治療方針の決定を行っています。
研究
基礎研究においては、肝臓における免疫応答・免疫寛容を主テーマとし、動物モデルを用いて急性肝障害、慢性肝炎、肝硬変、発がんといった各病態への進展に寄与する免疫学的機序、責任細胞の追究を行っています。臨床面では、ウイルス性肝炎に対する抗ウイルス療法の治療効果規定因子の検討、免疫抑制療法によるB型肝炎ウイルスの再活性化の検討、BCAA製剤による発癌抑制効果の検討など数多くの臨床研究を行っています。学会発表、一流雑誌への報告も多数あり、国内外で高い評価を受けています。